沃野が広がる南山形~氷河期から刻む2万年の歴史と恵みの里~
南山形地区は、東は山岳信仰で栄えた蔵王連峰と龍山、西は古墳などを有するゆるやかな丘陵が横たわる大自然の中に位置しています。このエリア東側を南北に流れる須川から以西には430ヘクタールにもおよぶ広大な田園風景が広がっており、今も昔も稔り豊かな沃野です。
ここには2万年以前の氷河期時代の「埋没林」や弥生式土器や石包丁の出土があった沢田遺跡、古墳時代の遺構がある「谷柏山古墳群」、奈良から平安時代の条里制跡等があり、早くから水田が開かれ土地開発が進んでいた地区であったことを物語っています。また、巨木・古木などの古くて豊かな自然、舟運と街道の交通路、祈りと信仰やそこから生まれる庶民の芸能など、先人たちの積み上げた歴史や文化を感じることができます。
当地に根づく文化財・地域資源を積極的に活用し地域振興を図ろうと、南山形地区在住者と東北文教大学が南山形地区全域を「南山形の自然・歴史野外ミュージアム」として構想し共同実践していくことで、地域の新たな交流を目指していきます。
保存・活用の取組み
- 自然・歴史野外ミュージアム構想の実施(周遊コース策定、地域学習の活用、大学運行バスでの周遊とガイド説明、郷土の食文化の利活用等)
- 案内板・説明看板設置、ガイドマップ作成、ガイドマップ作成、周辺整備等
- 文化財の保護・継承(氷河期の埋没林の保護、普及、オキナグサの栽培、普及、谷柏田植踊の復活、継承)
- 大学・地域の連携講座開催
- ガイドスタッフ養成
主な構成文化財等
・谷柏古墳群 【県指定史跡】 ・津金沢の大スギ 【県指定天然記念物】 ・オサヤズの種蒔き桜 【市指定天然記念物】
※以下未指定 ・氷河期の埋没林 ・オサヤズ(オサヤジ)の「賽の神」石碑 ・条里制跡 ・沢田遺跡 ・天神山遺跡
・羽州街道「松原番所」跡 ・須川舟運の谷柏船着場 ・片谷地の一本杉 ・大明神堰 ・石田遺跡 ・黒沢の「一里塚」
谷柏古墳群【県指定史跡】
谷柏山より東へ突き出た丘陵や山麓から傾斜面にかけて25基の古墳群が分布しています。すべて径7~10m内外の小円墳で、扁平な石材を組み合せてつくる箱式石棺が内部主体となっています。 小尾根や谷を境にして三つの支群に分かれており、A支群は5基、B支群は17基、C支群は3基あります。斜面に営まれた低墳丘のため、後の開墾や土砂の流失により墳丘の状況は必ずしも明瞭ではありません。副葬品はあまりなく、直刀・鉄鏃・蕨手刀などです。7世紀以降の終末期古墳とみられています。 →山形の宝検索navi「谷柏古墳群」へ
津金沢の大スギ【県指定天然記念物】
山形市大字津金沢の熊野神社境内の下段にあるスギの巨樹である。根周りは9.3m、幹囲8.8m、地上3.3mの部分が最も太く、幹囲は10.5mにも達します。幹からは大小の枝が分岐しており、特に5本の大幹が並んで真っ直ぐに立ち、高さは33mに及びます。県内有数のスギの巨樹であり、樹齢は約1000年と推定されています。 →山形の宝検索navi「津金沢の大スギ」へ
氷河期の埋没林
山形市南部の須川の河床には各地で化石の流木が露出しております。そのなかで、山形市谷柏では立木の姿が最も見られます。樹種はエゾマツの仲間を主体としており、当時付近一帯は亜高山帯にみられるような針葉樹林が広がっていたことがわかります。こうした立木が朽ちずに残されているのは、急激に森が埋められたためと考えられています。
地図
わたしたちが案内します 023-688-2298(東北文教大学「未来に伝える山形の宝」担当)
- 【アクセス】JR奥羽本線蔵王駅から徒歩11分、車で4分
- 【問合せ先】東北文教大学・南山形地区創生プロジェクト委員会 電話:023-688-2298(事務局:東北文教大学 )