最上川の自然やめぐみ
気候
流域の気候は、明確な四季の変化を有し、全体としては日本海岸式気候に属しますが、奥羽山脈と出羽丘陵にはさまれる内陸地方と、日本海に面する庄内地方の2つに大きく分けれられ、地域差が大きくなっています。
流域周辺の山間部で降雨や降雪が多いこともあり、たびたび洪水をもたらしました。その反面、春 の雪解けから秋までを通して比較的流量が安定していたため、舟運に適する河川であり、肥沃な土をもたらす源でもありました。
年間等降水量線図(1971~2000年の平均値)
【山形地方気象台提供】
植生
最上川の源流から米沢盆地に至る最上流部では、ブナをはじめとする原生林が残っています。
上流部の白鷹・長井地域には、エドヒガンなどサクラの古い巨樹名木が数多く残っています。国の天然記念物に指定されている伊佐沢の久保ザクラや草岡の大明神ザクラは、推定樹齢が1,200~1,300年位の古木で、それに類するものが、この地域に10個体ほど残っています。
峡谷(きょうこく)部では、河岸段丘や山地斜面の植生が豊かであり、自然的な河川景観が保たれています。特に、最上峡では、山地斜面が続き、ケヤキ-カエデ林を主体とした峡谷林が、斜面上部には特定植物群落に指定されているスギ天然杉が分布している。本来の植生がよく保たれており、自然の保存度が非常によいといえます。
草岡の大明神ザクラ(長井市) 角川の大杉(戸沢村)