最上川流域の文化的景観
母なる川 最上川
左:火焔滝(ひのほえのたき:米沢市) 右:川前観音堂からの眺め(大石田町)
最上川は、山形県の「母なる川」とも呼ばれています。、
古くから流域の人びとの生活や文化を産み育んできました。かつては交通や輸送の重要な道でもありました。わたしたちに豊かな実りをもたらし、ときには洪水で多くを飲み込むこともありました。
わたしたちと最上川との深い関わりは、これからも消えることはありません。
最上川は、山形県の風土や歴史、生活を特徴づけているものです。 同時に、人々の営みと自然環境が調和した多様な河川利用の姿を伝えています。
山形県では、最上川を「文化的景観」として見つめ直し、活用しながら未来に伝える取組みを進めて います。
文化的景観は、わたしたちの身の回りの風景の本質的な価値を見直し、その地域の歴史や生活を次の世代に伝えていこうとするものです。 自分たちの地域の素晴らしさを見つめることであり、これから進むべき道をさぐることにもつながります。
「最上川流域の文化的景観」を未来へつないでいきましょう。
文化的景観とは
風土に根ざして営まれてきた人々の生活や生業の在り方を表す景観地のことを文化的景観といいます。
文化的景観は、わたしたちが自然と共生する中で育んできた原風景ともいえるものです。
「昔見たふるさとの風景が、いつ間にか失われてしまった。」ということがあるのではないでしょうか。文化的景観は、日々の生活に根ざした身近な景観であるため、日頃その価値にはなかなか気付きにくいもので す。文化的景観を保護する制度を活用することによって、その文化的な価値を正しく評価し、地域で守り、次世代へと継承していくことができます。 文化的景観が保護されることにより、文化的景観に対する理解の促進、魅力ある地域づくりの推進、地域の活性化などが期待されます。
文化的景観の中で、特に重要なもので保護の措置が講じられているものについては、都道府県又は市町村の申 出に基づき、重要文化的景観に選定されます。文化的景観の保護制度は、平成17年の文化財保護法の一部改正により始まった、新しい文化財保護の手法です 。
文化的景観の定義
地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国の生活又は生業の理解に欠くことができないもの。<文化財保護法 第2条第1項第5号>
本県の文化的景観の取組み
下記の重要文化的景観の位置図及び範囲図は山形県観光文化スポーツ部県民文化芸術振興課博物館・文化財保存活用室で閲覧可能です。
最上川の流域・往来及び左沢町場の景観(大江町)
平成25年3月に、県内初の重要文化的景観に選定されました。最上川舟運の河岸として発展してきた左沢には、最上川などの自然環境と、左沢楯山城跡や小漆川城跡が物語る政治的拠点としての歴史、そして舟運や農山村との流通・往来に根ざした生活・生業が有機的に結びついて、複合的・重層的な文化的景観が形成されています。
旧最上橋(大江町)
最上川の流域・往来及び左沢町場の景観の紹介
大江町HPへリンク
最上川上流域における長井の町場景観(長井市)
平成30年2月に、県内2番目の重要文化的景観に選定されました。置賜野川の扇状地において治水と利水に対応した暮らしが、中世の「戦国城下町」「門前町」、近世初頭からの「在家」、近世中期から明治初頭における最上川舟運による流通の結節点として、それぞれの時代における賑わいの風景が重層的に今の生活・生業に息づいています。
入れかわど(長井市 旧丸大扇屋)