とっておきの最上川 大石田編

乗舩寺の木造釈迦如来涅槃像(もくぞうしゃかにょらいねはんぞう)
【大石田町指定有形文化財】

nowprinting-300 像長201.5cm、木造寄木造で漆箔(しっぱく)、彫眼、涅槃像(ねはんぞう)です。面相部がよく整い、衣文(えもん)の掘りも写実味をまじえた深浅自在の像です。全国的にみても屈指の巨像であり、京都か江戸の正統的な仏師の手になるものと予想されます。
 元禄7年(1694)に木食傾譽上人(もくじきけいよしょうにん)が乗舩寺に寄進したといわれています。また、この像を最上川を船に乗せてさかのぼったところ、大石田河岸にとどまりたあいと動かなくなったので、乗舩寺に安置されたといわれています。
(文・梅津保一氏)

浄願寺(じょうがんじ)山門【大石田町指定有形文化財】

nowprinting-300 山門の屋根は入母屋造りで間口3間、奥行1間の「平棟門(びょうどうもん)」の形式を採用し、柱・冠木桁(かぶきけた)・斗栱間彫刻(ときょうまちちょうこく)・蟇股(かえるまた)・木鼻等の主要部材はすべてケヤキ材でできています。柱や扉に一部残っている飾金具類、蟇股、透かし彫、木鼻等の形状から近世初期を下らないとみられます。
 この山門は尾花沢市大字延沢(のべさわ)にあった延沢城の裏門を延沢から大石田に移ってきた土屋作兵衛が移築したと伝えられ、近世初期の城門形式を示す貴重な遺構といえます。
(文・梅津保一氏)

西光寺(さいこうじ)の芭蕉句碑【大石田町指定有形文化財】

nowprinting-300 西光寺境内にある碑高100.4cmの自然石の碑面に「さみだれをあつめてすゝしもがみ川 芭蕉」と刻まれています。元禄2年(1989)「おくのほそ道」紀行で大石田の高野一栄亭(たかのいちえいてい)で巻かれた芭蕉真蹟歌仙「さみだれを」の芭蕉発句を明和6年(1769)ごろ、地元の俳人土屋只狂(しきょう)が拡大模刻して建てたものです。現在は、磨滅を防ぐためガラス貼りのさや堂に安置され、元の位置には同句形の新しい碑が建てられています。
(文・梅津保一氏)

芭蕉扇真蹟歌仙碑(ばしょうおおうしんせきかせんひ)
  (高野一栄亭跡の板垣一雄氏宅庭園内)

nowprinting-300 元禄2年(1689)松尾芭蕉の「おくのほそ道」紀行で大石田の高野一栄亭で巻かれた四吟歌仙「さみだれを」は、紀行中に巻かれたに安置され、元の位置には同句形の新しい碑が建てられ歌仙十三巻のうち芭蕉真蹟の唯一の歌仙です(山形県指定有形文化財 個人蔵)。この芭蕉真蹟の四吟歌仙「さみだれを」を「おくのほそ道」紀行300年の記念して、大石田町が平成元年7月14日、原本筆跡を2倍に拡大模刻(一部省略)して建てたものです。
(文・梅津保一氏)

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