とっておきの最上川 朝日町編

 「五百川峡谷に架かる大平橋」

朝日町今平と白鷹町大瀬の渡船場に、昭和39年(1964)最上川本流で初めての吊り橋として架橋された。大瀬の「大」と今平の「平」から「大平橋」と名づけられ、長さ120m、幅2m、渡り板は500枚以上も貼られている。NHKのテレビドラマ「おしん」(昭和58~59年放送)の撮影にも使われた。平成22年(2010)上流に新大平橋が造られ、渡ることはできなくなっているが、五百川峡谷の風物の一つである。

五百川峡谷にかかる太平橋

「上郷ダム・発電所」

朝日町大滝にある上郷ダムは、最上川本流唯一の発電用ダムとして、東北電力により昭和37年(1962)に造られた重力式コンクリートダムで、高さ23.5m、長さ143mである。発電所は使用最大水量毎秒100㎥、落差18.5mを活かし、最大出力15,400キロワットで、山形地区の電源となっている。建設時、漁業への配慮として発電所脇に魚道が設置されたが、五百川峡谷にあった簗は全て廃止された。

上郷ダム・発電所

「八天橋から見る最上川と大朝日岳」

朝日町の四ノ沢と能中に架かる八天橋からは、最上川の流れと、その奥に朝日連峰の主峰である大朝日岳を見ることができる。平成24年(2012)NPO法人朝日町エコミュージアム協会が選定した「朝日町から見える大朝日岳ビューポイント33」の中で唯一、最上川と大朝日岳を同時に見られる場所で、四季折々の眺めを楽しむことができる。

八天橋

「あさひフットパスと新旧明鏡橋」

あさひフットパスの「舟運いにしえの小径」から見る新旧明鏡橋。奥に見える旧明鏡橋は昭和12年(1937)に架橋された最上川で初のコンクリート橋である。平成18年(2006)優れたデザインを理由に「土木学会選奨土木遺産」として顕彰されている。その下流に六代目となる新明鏡橋が平成17年(2005)に、旧橋と同様に橋脚がないアーチ橋として造られている。橋の下には、渇水期になると水路状に掘削したと思われる舟道遺構の一部を見ることができる。

新旧明鏡橋

【執筆者】NPO法人朝日町エコミュージアム協会 理事長 長岡 信悦

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